リシケシで前世を見る

ヨガの聖地で過呼吸になる

デリーから北へ280キロ、ヨガの聖地リシケシはヒマラヤ山脈南麓の氷河を水源とする聖なる川ガンジスが滔々と流れるヒンズー教の聖地でもある。Rishikesi map

今では夏の週末ともなると、デリーからの列車が発着する、ハリドワールからリシケシに向かう細い山道はラフティングを楽しむインド人達の車で、大渋滞だ。多くの行者が神との一体化を求めて庵を結び、世捨て人のような生活を送ったこの地も今は昔なのかもしれない。

とはいっても、リシケシだ。聖地巡礼のヒンズー教徒に加えて、世界中から現代版ヨガ行者が集まる。町には大小さまざまなヨガ道場やリトリートのための施設が多数ある。ヨガといっても、ハタヨガ、アシュタンガヨガ、クリヤヨガ、レイキなど実に多彩なライナップ。中には催眠術を教えてくれる教室もある。

実は私、2度目にリシケシを訪れた際に、ヨガと共に、催眠術も習った。もっとも、全くものにならなかったけれどね。

さて、話は、最初にリシケシを訪れた時のことだ。

写真はラクシュマラジュラ

町の中心ラムジュラ(ガンジス川にかかる橋のひとつ)の近くに、レイキ・マッサージの店があって、その店ではヨガ式呼吸法も教えているという。

ヨガの基本は何といっても呼吸。ぜひにということで、習うことにした。

最初は楽勝な呼吸法だったのだが、一番強力な呼吸法といわれるカパラバティになると俄然、先生の指導にも熱が入り、「もっと、強くはく!もっと」と結構なスパルタ授業になっていった。どのくらい練習したのだろう、突如、私の体が硬直を始めた。指が曲がったまま固まった!動かない!「脳梗塞とかじゃないよね。」焦る私。

校長先生が駆けつけてくれたのだが、「何とかチャクラが詰まっているから、エネルギーがぬけない」とか何とかいいながら、とにかく、横になれという。

そして、横になった瞬間、光のスパークと共に、いきなりビジョンが現れた。透明な細い筒の中を、私はものすごいスピードで上昇していき、上りきると、今度は、深い森が眼下に見えた。見上げると右手には雪をいただく山もある。

寝ていたわけではない。実際、その光景を先生に話していたのだ。先生は「前世を見ましたね」という。「単なる過呼吸なんじゃないの~」といいたかったが、まあ、そういうふうに思う方がなんだか、楽しい気がした。

私はリシケシで前世をみた……ことにする。(笑)

いつしか、私の体の硬直もとけていた。