それはあなたのお金じゃありません。
トーシャ・シルバー著『それはあなたのお金ではありません』は、豊かさをひたすら追い求める「引き寄せの法則」に疲れた人々に、お金との新しい関係を提案するベストセラー本だ。
彼女はインド哲学に多大な影響を受け、「魂は転生ごとに明確な履修科目がある」というプララブダ・カルマの法則によって導かれる人生には、根底に首尾一貫した神の計画があり、自我を捨て、すべてを神に任せれば、必要なことはすべて想像以上に満たされるのだと説く。豊かでいられるヒントがいっぱい詰まった本なので、気になる方には一読をお勧めしたい。
ところで、この本を読んでいる時に、あるインド人との会話を突然思い出した。
もう大分昔のことなので、詳細は忘れてしまったのだが、インド人にちょっとしたものをプレゼントした時のことだ。確か、チョコレートか何かだったのだが、受け取った彼はすぐさま天を仰いで「ありがとう。アラー」と言った。ド日本人の私は強烈な違和感を感じ、「はぁ?なんでアラーなわけ?私があげたんだから、私にありがとう言うんじゃないの?」とその場は心の中で毒づいただけだったのだが、「わからないことは聞け」を信条としているので、あとで、何気なく、「インド人は何かしてもらったら、してくれた人に感謝しないのか」と聞いてみた。(我ながら、失礼な話ではあるが….)彼の回答はさらに私の目を吊り上げた。
彼曰く「アラーはその人を使って、私にご褒美をくれる」。すべては神の思し召しなのだ。
当時は「はぁ?私は自腹切ってアラーのお使いかい?」とむかっ腹を立てていたのだが、トーシャ・シルバーさんの著書を読んで、なるほど、神にすべてを投げ出すとそうなるのかと、長年、のどにつっかえていた魚の骨がとれたような気がした。
神の壮大な計画のもとですべては動き、人間もその流れの中にいる。そんな価値観を持つ人に、「ものもらったら、ありがとうぐらい言いなさいよ」とかエゴ丸出しで言わなくてよかったぁ。いやぁ、恥ずかしい。